wincom.rbは、Ruby用シリアル(RS-232C)通信ライブラリです。Windows上で動作します。
動作確認を行ったRubyのバージョン ruby 2.5.3p105 RubyInstaller x86
wincom.rbのダウンロード(wincom_v215.7z)

Serialクラス シリアル通信を行うクラスです。

１）基本

２）デバイスコントロール

３）タイムアウトパラメータ

open

通信ポートをOPENします。

戻り値

正常時：nil 異常時：エラーコード

escapeCommFunc(ifunc)

通信デバイスの制御を行います。

ifunc	内容
SETXOFF	XOFF 文字を受信したときのように送信を行います。
SETXON	XON 文字を受信したときのように送信を行います。
SETRTS	RTS（ 送信要求）信号を送信します。
CLRRTS	RTS（ 送信要求）信号を消去します。
SETDTR	DTR（ データ端末準備完了）信号を送信します。
CLRDTR	DTR（ データ端末準備完了）信号を消去します。
RESETDEV	可能ならばリセットする (LPT デバイス)
SETBREAK	ブレーク状態のセット
CLRBREAK	ブレーク状態のクリア

戻り値

正常時：nil 異常時：0

close

通信ポートをCLOSEします。

戻り値

正常時：nil 異常時：0

send(schar)

文字列の送信を行います。

schar

送信文字列

戻り値

正常時：nil 異常時：0

receive

文字列の受信を行います。

戻り値

受信文字列 受信文字がない時は、nil

2台のパソコンをRS232Cシリアルケーブル(クロスケーブル)で接続し通信を行います。 1台目のパソコンで下記のrubyプログラムを実行します。2台目のパソコンではターミナルソフトRLoginを使用します。 RLoginで文字入力を行い「Enter」キーで文字列を送信します。rubyプログラムでは、受信データを表示し、 受信文字にLF文字を追加し送信を行います。qキー入力で終了します。実行にはwinconsが必要です。
通信設定は、9600BPS、データ長8ビット、パリティなし、1ストップビット、フロー制御RTS/CTSとします。
RLoginでの設定については、こちらを参照して下さい。

# coding: utf-8
# wincom 通信テスト RLoginと通信
require "./wincom"
require "./wincons"

consl = Console.new(__ENCODING__)
compt = Serial.new

compt.comno = 1         # comポート番号
compt.bRate = Serial::CBR_9600
compt.byteSize = 8
compt.parity = Serial::NOPARITY
compt.fDtrControl = Serial::DTR_CONTROL_DISABLE
ir = compt.open
if ir == nil
   ir = compt.escapeCommFunc(Serial::SETDTR)
else
   compt.close
   print "通信ポートオープン失敗\r\n"
   exit
end
print "通信ポートオープン¥r¥n"

irstep = 1
srcvdt = nil

while true do
   sr = compt.receive
   if sr != nil
      sr.each_byte do |c|
         ic = c.to_i
         if irstep == 1 && srcvdt == nil
            srcvdt = c.chr
            irstep = 2
         else
            if irstep == 2
               srcvdt += c.chr
               if ic == 0x0d     #CR
                  print "受信:" + srcvdt + "¥n"
                  compt.send(srcvdt + "¥n")
                  print "送信:" + srcvdt + "¥n"
                  srcvdt = nil
                  irstep = 1
                  break
               end
            end
         end
      end
   end
   ca, = consl.inkey
   if ca == "q" || ca == "Q"
      break
   end
end

compt.close
print "通信ポートクローズ¥r¥n"
   

フロー制御について

受信バッファの満杯、あふれ状態を防止するため送信機器と取り合いを行います。以下の３通りの方法があります。

１）RTS/CTSフロー制御
RTS信号(Request to send:送信要求)とCTS信号(Clear to send:受信可)を使用します。 データ送信時は、RTSをONとします。受信側はこの信号がONとなった場合、受信バッファに余裕があり受信可能であればCTSをONとします。 送信側は、fOutxCtsFlowフラグが有効の場合CTS信号の監視を行います。また、送信側のRTSフロー制御はfRtsControlフラグの内容 に従い行われます。

２）DTR/DSRフロー制御
通常DTR/DSRフロー制御はパソコンとモデム間のフロー制御です。DTR信号(Data terminal ready)とDSR信号(Data set ready)を 使用します。パソコン側では、通信開始前にDTR信号をONとします。モデム側は、受信バッファに余裕があり受信可能であれば DSR信号をONとします。 パソコン側は、fOutxDsrFlowフラグが有効の場合DSR信号の監視を行います。また、パソコン側のDTRフロー制御は、 fDTRControlフラグの内容に従い行われます。 fDsrSensitivityは、DSR信号の状態を検出できるかどうかを指定します。ONの時は、DSR信号がONの時受信を行います。 fErrorCharフラグは、パリティエラー発生時の文字置換の有効無効を指定します。置換文字は、errorcharで指定します。

３）XON/XOFFフロー制御
受信バッファが指定バイト数以上になると送信側にXOFF文字を送信し、指定バイト数以下になるとXON文字を送信します。 fOutXフラグがONの時、送信時のXON/XOFFフロー制御が有効となります。また、fInXフラグがONの時は、受信時のXON/XOFF フロー制御が有効となります。 fTXContinueOnXoffフラグがONの時は、受信時XOFF文字送信後も送信を継続します。 XON/XOFFの文字は、xonchar,xoffcharで指定します。通常xoncharは、0x11、xoffcharは、0x13です。 受信バッファの上下限値は、XonLim、XoffLimにバイト数で指定します。

履歴

2019.02 Ver.2.15 定数をクラス内に移動

2015.08 Ver.2.14 receive関数一部修正

2013.08 Ver.2.13 DCB構造体変数の型、xonLim,xoffLim変数名変更他

2013.05 Ver.2.12 ruby2.0対応

2011.07 Ver.2.11 ライブラリ「Win32api」を「dl/import」に変更

2011.05 Ver.2.0 Ruby 1.9対応

2005.05 Ver.1.0